「お酒で失敗したこと~第1章」

就職して直面した“飲むこと”の現実
初めての就職先は自動車通勤で、職場は某学習塾。
その職場では「ノミュニケーション」が当たり前で、定時は21時50分と、一般的な職場よりも遅い勤務体制でした。仕事終わりには上司から飲みに誘われることが日常茶飯事。部下を飲みに誘えば飲み代も経費で落ちるという仕組みもあり、たくさん飲むほど上司が喜ぶという、独特な空気が漂っていました。

危うい“飲んだ後”の帰宅
当時から自動車通勤で、飲みの席で十分に酔っても、普通に車を運転して帰宅していました。
今から約28年前、飲酒運転に対する社会の意識はとても低く、「少しなら大丈夫」という雰囲気がありました。ある日、家の駐車場に着いた瞬間、「どうやって帰ってきたのか」「どの道を運転したのか」全く記憶がない、というゾッとする経験もしています。

背景にあった仕事のストレス
飲む理由の裏には、長時間労働・サービス残業(当時は残業という認識すらない会社)などの強いストレスもありました。初任給は同級生の中では良い方だったものの、残業手当がつかないため実際の手取りはかなり低く、仕事に見合った報酬がもらえない不満も蓄積。
本業は授業なのに自分はワープロやパソコンの作業ばかりが得意で、授業ができないと「価値がない」と扱われる社風も、心の重荷になっていました。

「お酒だけは楽しかった」そのワナ
上司に誘われてお酒を飲んでいる間だけは、「楽しい」と感じられたことも事実です。
仕事で認められにくさや孤独、評価されないことの寂しさを、お酒と仲間の時間が一時的に和らげてくれた——そんな記憶が強く残っています。

振り返って思うこと
もしあのまま勤めていたら、いつか飲酒運転で捕まっていたか、重大な事故を起こしていたかもしれない。
当時は、それがどれほど危険なことで、人生を大きく狂わせる可能性があるか、深く自覚できていませんでした。
お酒での失敗には――「周囲の空気」「会社の仕組み」「仕事そのもののストレス」が複雑に絡み合っていたと、今ならはっきりわかります。
お酒と会社、ストレスと解放。その全てが“普通”のこととして許容されがちだった時代。
でも本当に守りたかったもの——それは自分自身の人生だったなと、振り返って思います。
これが私の「お酒で失敗したこと」の一章です。
