【アルコール依存症】断酒体験記 ~奇跡の5日間 ⑤専門外来受診日 2/2

SJCスタッフ・管理者のメンタルヘルサーMikoです。前回の記事「④専門外来受診編(1/2)」の続きをお送りします。

メンタルヘルサー Miko の断酒体験記 ~奇跡の5日間 ④専門外来受診編(1/2)~

今回は、正式なアルコール依存症の診断、処方薬の体験、そして医師から言われた忘れられない一言についてお話しします。

目次

正式なアルコール依存症の診断

医師の診断のもと、アルコール依存症チェックを経て、正式にアルコール依存症と診断されました。確か40点満点で30点位の中度のアルコール依存症でした。

医師からは「離脱症状も強く出ているのでアルコール依存症でしょう」と言われました。ここにあまり驚きはなく、離脱症状が完全にアルコール依存症にあてはまっていたので、「まあそうだろうな」と思いました。

アルコール依存症の重症度分類:

  • 軽度:症状は少ないが、日常生活への影響が見られ始める
  • 中度:複数の症状があり、社会的・職業的機能に明確な影響
  • 重度:多くの症状があり、生活全般に深刻な影響

私の場合は中度ということで、症状としては深刻だが、まだ治療への取り組みが可能な段階だったと言えるでしょう。

処方薬による治療

離脱症状軽減のための薬物療法

続いて、離脱症状を軽減させるための睡眠薬・抗不安薬が処方されました。これは正直、もう1日か2日か、早く受診しても良かったなと思いました。

この睡眠薬と抗不安薬のおかげで、この日4日ぶりに睡眠が取れて、少しずつ解放に向かっていったからです。

離脱症状に対する薬物療法の重要性:

  • 不眠症状の改善により体力回復が促進される
  • 不安症状の軽減により精神的安定が得られる
  • 重篤な離脱症状(振戦譫妄など)の予防
  • 治療継続への意欲維持

断酒薬レグテクトの処方

さらに、レグテクト(アカンプロサート)という薬が処方されました。これは断酒薬で、飲酒欲求を減らしてくれるものです。1か月飲み続けましたが、正直あまり効き目を感じず止めてしまいました。

レグテクト(アカンプロサート)について:

  • 作用機序:脳内の神経伝達物質のバランスを調整し、飲酒欲求を軽減
  • 効果:断酒継続率の向上、飲酒欲求の軽減
  • 特徴:個人差が大きく、効果を感じない人も一定数存在
  • 副作用:比較的軽微(下痢、頭痛など)
  • 使用期間:通常6か月〜1年程度継続

私の場合は効果を実感できませんでしたが、多くの患者さんには有効な治療法として使用されています。

医師から言われた忘れられない一言

最後に医師から言われた言葉:

「アルコール依存症なので、基本は断酒治療になります。ただ、急に止めると辛いという人もいるので、徐々に減酒しながら様子を見て、最終的に断酒するという方法もありますがどうしますか?」

治療選択肢について:

  • 即時断酒:完全にアルコールを断つ方法
  • 減酒治療:段階的にアルコール量を減らしていく方法

私の選択

私は迷わず「このまで断酒します」を選びました。
理由は一つ。もうこの離脱症状をこれ以上味わいたくなかったからです。

一度でも減酒でまたお酒を飲んでしまえば、連続飲酒に早戻りして、また断酒するときに離脱症状が来ることは明らかでした。

衝撃的な医師の言葉

その時に聞いた医師の一言を私は一生忘れません。

「分かりました。まあ、無理だと思いますが、頑張りましょう」

「え??何て言ったのか?無理だと思いますってどういうことだ??」と。

医師の言葉の背景

ただ、この医師を擁護すると、無理もないかなと思います。

アルコール依存症治療の現実:

  • 断酒2年目までの継続率は20%以下
  • 毎日色々な患者さんが来て、途中でスリップしたり、治療放棄したりする
  • 医師は多くの失敗例を見てきている
  • 統計的に見れば、確かに成功は困難

医師は決して悪意があったわけではなく、医学的事実に基づいた現実的な見方をしていたのでしょう。

闘志への転換

ただ、この一言が微かに残っていた私の闘志に火をつけて、「よし、じゃあ何とか断酒してやろうじゃないか」と思わせてくれることができました

逆境をエネルギーに変える:

  • 統計を覆してやろうという気持ち
  • 「無理」と言われたことへの反発心
  • 自分の可能性を信じる意志
  • 挑戦への転換

専門外来での治療の終了

ということで、医師から正式にアルコール依存症と診断され、各種処方薬をもらい、家へ帰宅しました。

結局、アルコール依存症専門外来はレグテクトの効き目を感じられなかったため、2回で通院を止めてしまいました。

専門外来通院中止の理由:

  • 断酒薬の効果を実感できなかった
  • 離脱症状が改善し、緊急性がなくなった
  • 他の方法での断酒継続に自信を持てた

なぜ断酒が継続できているのか

でも、私は断酒を継続できています。なぜ、断酒が継続できているか。

それが本シリーズ最後の記事、小太郎さんとコミュニティとの出会いに繋がります。

医療と支援の組み合わせ

私の経験から言えることは、医療だけでも、精神力だけでも断酒は困難だということです。

断酒継続に必要な要素:

  • 医学的サポート:適切な診断と初期治療
  • 精神的支援:コミュニティや仲間との繋がり
  • 継続的なモチベーション:目標や価値観の明確化
  • 環境の整備:飲酒を避けられる生活環境
  • 代替手段:アルコール以外のストレス対処法

読者の皆さんへ

医師から「無理だと思います」と言われた私でも、7年近く断酒を継続できています。

統計は統計であり、あなた個人の可能性を決めるものではありません。

重要なのは、適切な医療サポートを受けながら、同時に継続的な支援システムを見つけることです。


次回予告: 最終回「⑥小太郎さんとコミュニティとの出会い編」では、私の断酒を決定づけた運命的な出会いについてお話しします。


※この記事は体験談であり、医学的なアドバイスではありません。薬物療法については必ず専門医と相談の上で判断してください。処方薬の効果には個人差があります。治療方法についても、医師と十分に相談して決定することをお勧めします。

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