SJCコミュニティ:断酒のヒエラルキーを無くしたいSJCコミュニティに込めた思い ~安全で平等な場を目指して

目次

はじめに

SJCコミュニティスタッフのMikoです。
今回は、コミュニティ創設にあたって私が特に気にかけている点についてお話したいと思います。

これまでの記事で、私自身の底付きから断酒に至るまでの体験をお伝えしてきました。その経験を通じて学んだことを活かし、より多くの方が安心して参加できるコミュニティを作りたいと考えています。

SJCの理念

SJCの理念は**「酒のない人生に、誇りと出逢いを」**です。

お酒を止めた後、新たな第二の人生を歩んでいこう、ということを表現していますが、この理念を実現するために、私は以下の2つの重要な要素を大切にしたいと考えています。

① 飲酒欲求・スリップ(再飲酒)を素直に報告できる場にすること

スリップとは

スリップとは、禁酒・断酒を続けている人が再び飲酒してしまうことを指します。
アルコール依存症の回復過程では決して珍しいことではなく、多くの人が経験するものです。

なぜオープンな報告が重要なのか

禁酒・断酒の時期やその時の個人の状態により、飲酒欲求が強い時があったり、あるいは禁酒・断酒中にスリップ
(再飲酒)してしまうこともあると思います。

その時、
「今日は特に飲酒欲求が強くて大変だよ」
「あー、スリップしちゃった」
って言える雰囲気のコミュニティを目指しています。

ここで、「でも今まで酒なし楽しいって言っていたし、スリップしたって言うの気まずいな」と思ってほしくないのです。

孤独と秘密の危険性

飲酒欲求やスリップした時に一番よくないのは、そのことを自分一人で抱え込んで秘密にしてしまうことです。

前回の記事でもお伝えしましたが、アルコール問題は孤独と秘密によって助長されるのです。

孤独と秘密が問題を悪化させる理由:

  • 罪悪感や恥の気持ちが増大する
  • 適切なサポートを受けられない
  • 問題解決のための情報や経験を共有できない
  • 再発のリスクが高まる
  • 精神的な負担が一人に集中する

安全な場の提供

だからこそ、SJCコミュニティでは秘匿性を保ちつつ、オープンにスリップや飲酒欲求について語れる場を提供したいと考えています。

安全な場とは:

  • 判断されることのない環境
  • 体験を共有できる空間
  • 適切なサポートを受けられる場所
  • プライバシーが守られる仕組み
  • 再出発を支援する雰囲気

② 断酒のヒエラルキーを作らない

ヒエラルキーとは何か

これは具体的に以下のような序列や優劣の概念を指します:

  • 断酒歴が長いから偉い
  • 禁酒・断酒の方が偉くて、機会飲酒の方が価値が低い
  • 完全断酒を選んだ人の方が、節酒を試みる人より優れている

こうした「お酒に関する選択や状況での序列」は作りたくありません。

なぜヒエラルキーが問題なのか

断酒歴が長い人が言うことは正しいとか、断酒を選択した方が偉くて、機会飲酒の人は間違っているとか、そのような雰囲気は決してよろしくないと思っています。

ヒエラルキーが生む問題:

  • 新しく参加する人への威圧感
  • 異なる選択をした人への排除感
  • スリップした際の報告のしにくさ
  • 多様性の否定
  • 支援の質の低下

個々の選択の尊重

それぞれの人には、それぞれの事情と選択があります:

  • 完全断酒を選ぶ人:アルコール依存症の診断を受けて医学的に断酒が必要
  • 節酒を目指す人:まだ依存には至っていないが量を調整したい
  • 機会飲酒の人:特定の状況でのみ飲酒をコントロールしたい
  • 禁酒中の人:一定期間お酒を止めることを選択

どの選択も、その人なりの理由と決断があります。それを尊重し、支援することがコミュニティの役割だと考えています。

①と②のつながり

これらの2つの要素は密接に関連しています。

ヒエラルキーがあると、「断酒歴の短い自分がスリップしたことを言うと恥ずかしい」「完全断酒を選んでいない自分は発言しにくい」といった気持ちが生まれてしまいます。

逆に、平等で安全な環境があることで、誰もが素直に自分の状況を報告でき、適切なサポートを受けることができるのです。

私たちが目指すコミュニティ

SJC理念である「酒のない人生」を歩むためのお手伝いができればと思っており、そこでは以下のような特徴を持つコミュニティを目指していきます

✓ スリップしても安心して報告できる安全な場
✓ 断酒によるヒエラルキーのない平等な環境
✓ 多様な選択を尊重する包容力
✓ 秘匿性を保ちながらもオープンな雰囲気
✓ 相互支援と理解に基づく優しいコミュニティ

体験者だからこそ伝えたいこと

私自身が底付きから離脱症状、そして回復の道のりを歩んできたからこそ、一人で抱え込むことの辛さ仲間の支えの大切さを痛感しています。

誰もが安心して参加でき、お互いを支え合えるコミュニティを一緒に作っていきませんか?

あなたの今の状況がどのようなものであっても、SJCはあなたを歓迎します

完璧である必要はありません。迷いがあっても、失敗があっても、それも含めて受け入れる場所を目指しています。

おわりに

「酒のない人生に、誇りと出逢いを」

この理念のもと、一人ひとりが自分らしく歩める道を見つけられるよう、私たちスタッフも全力でサポートしていきます。

皆さんと一緒に、温かく支え合えるコミュニティを育てていければと思います。


※SJCでは、医学的なアドバイスは提供いたしません。専門的な治療が必要な場合は、必ず医療機関にご相談ください。コミュニティは相互支援の場として運営されています。

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